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パフェより甘い《レティシア×ルア》

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「……胃、もたれねーの?」
目の前で特盛のフルーツパフェをそれはそれは美味しそうに2つ並べて食べている男をうんざりした顔で眺めながら、ルアは問いかけた。
「ん、はい。ルアさんも少し食べたいんですか?」
「んなわけ」
行儀よく飲み込んでからその問いかけに返事をするレティシアに、即答する。
「美味しいのに。
 ……でも、今日は助かりました。ここのパフェずっと気になってて。
1人1食限定なんてケチですよね」
「お前が食いすぎなんだよ、バカ」
ひとつに対して4人以上で食べることを想定されているものに対してこいつは何を言っているんだ。
実際注文する時、驚きを隠しきれない店員に3回は本当に食べ切れるのか確認された。
レティシアは少し眉間にシワを寄せるも、それ以上何も言わずパフェに視線を戻した。

しかし、本当にこの男は美味そうに食べる。
偏食ゆえ食の細い自分じゃ考えられない食べっぷりにはいつ見ても目を見張るというか、見ていて胸焼けがするくらいだ。
いつもの様に本でも読んで待っててやるかと鞄を漁っていると、目の前から声がした。
「あ、ルアさん。先に帰ってても大丈夫ですよ。」
「んぁ?なんで?」
「もう目標は達成できましたし……。
 それに、あなたも個人的にやることがあるんじゃないですか?今日は依頼も特に受けてないんでしょ?」
確かに暇では無い。冒険録も書いておきたいことが溜まってるし、読んでみたかった本も積んでる。(持ってきた本もその一つだ)
家の片付けもしばらくぶりにしようと思ってたし、リテイナーに預けてる荷物も整理したい。
でも。
「……うーん。お前と居たいかな、今は。」
だからやることがあるとしたら、それは現在進行形でやれてるよ。と、鞄から本を取り出しながら伝えた。
すると、レティシアは食事の手を止め少し間抜けな顔でこちらを見たかと思うと、照れくさそうに笑い出した。
「俺、ルアさんのそういうところ好きなんですよね。」
「はあ?」
「あー、そんな顔しないで。ほら、その読みかけの本の続きでも読んでてください。」
少し不満げではあるがそれを素直に聞きいれ、ルアは栞を挟んでいたページを開いた。

レティシアは、素直じゃなくても分かりやすいなと素直じゃない彼の、いつもより朱色に染る耳には気づかないでおくことにした。

LastDust

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